好評発売中! これまで日本のメディアが報じることのなかったアフガン女性の生活や思いを知り、人権と平和について考えるための一冊

《世界》がここを忘れても
清末愛砂文、久保田桂子絵
寿郎社 1,980円

書評 2020年3月8日 毎日新聞
国際女性デーの今日は、世界の女性たちの心に寄り添いたい。本書は、「アフガニスタンのジェンダーに基づく暴力」をテーマとしている研究者が、アフガン女性の日常をやさしい文章で著した「ノンフィクションに極めて近いフィクション」。
主人公は、戦火を逃れてパキスタンの難民キャンプで生まれ育った後、母国の首都カブールで大学生になった女の子ファルザーナ。女性の教育に理解のある親のもと、弁護士になる勉強をしながら、暴力や差別に苦しむ女性を救う団体でボランティア活動に励んでいる。しかし、子どものころから一緒に勉強をしてきたナーディヤーは、通学バスのなかで爆弾テロに巻き込まれてしまう。
各ページの隅には、現地の食文化や交通手段、女性の進学の難しさ、強制婚、低い識字率などの注釈があり、かの国の今を知ることができる。9.11後の英米軍などの侵攻、タリバン政権の崩壊、過激派組織「イスラム国」の台頭で、暮らしは不安定なまま。強固な家父長制のもと、権利が抑制されたアフガン女性たちの苦しみに胸が痛む。報じられる機会が減っても、世界の女性たちの「闘い」を忘れてはいけない。

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